プロの住宅レシピ 自然豊かな変形地に佇む、方形屋根の住まい

原友望実
この住宅は、奥多摩地域の玄関口である⻘梅市の多摩川右岸に位置し、いびつな五角形の変形地に建っています。周囲は小中規模の工場や住宅、畑などが広がり、生産の場と生活の場が近接したユニークな環境です。敷地の特性を活かし、印象的な方形(ほうぎょう)屋根を特徴とする正方形プランの建物が自然に形成されました。建物は内外を通して「家らしくない普通の家」の在り方を目指しており、多用途で柔軟に活用できるように設計されています。
内部は、土間を設けることで床の高さを変化させると同時に、主な居室の天井高を2.1mと低く抑えつつ、中心に据えたダイニングの天井高を3.5mと高く設定しメリハリをつける事で、平屋ならではの広々とした開放感に加え、落ち着きとリズムを持たせています。
土間は、客間や居間、さらには小規模な商いの場としても活用できる多用途スペースとして想定しており、団欒の場と合わせて大きな窓に隣接するように据えることで、大らかな雰囲気が家の外まで伝わるようにしています。
将来的なライフスタイルの変化に柔軟に対応できる自由度の高い空間が完成しました。