プロの住宅レシピ 障子と吹き抜けがつくる、旗竿地の心地よい住まい

二村 はじめ
「旗竿地」と言われる、道路に接する細長い路地の奥に建つ住まいです。周囲の建物との距離が近く、どの方向にも開きにくい環境の中で、いかに快適に暮らせるかを考えました。
お施主様は和のテイストを好まれていることから、住まいのメインとなる南側の大開口に4枚の大きな障子を設けました。大開口からは常に隣家の外壁が見えるため、開閉の自由度を高め、閉じているときも和の柔らかい雰囲気を感じながら心地よく過ごせるようデザインしています。
閉じる時間が多くなることを考慮し、ダイニングの上に吹き抜けを設け、高窓を設置。1階の大開口を閉じても、吹き抜けから自然光が入り、明るい空間が確保できます。
そして「家族が集まりやすいLDKにしたい」というご希望から、廊下を最小限にし、1階の中心に家族が集まる食堂を設け、この食堂を囲むようにをリビング・和室・キッチン・水回り・階段がつながり、上部の吹き抜けから2階へもゆるやかにつながる設計で、家族が自然と顔を合わせる動線をつくりました。
また、リビングにはソファを置かず、床座で過ごすスタイルを望まれていたため、素足での踏み心地にこだわりました。お施主様には、さまざまなフローリングを素足で体験していただき、気に入られた唐松の無垢フローリングを採用。さらに、ダイニングの床には段差を設け、椅子代わりに使えるデザインとしました。
腰を掛けて会話したり、足を伸ばしてリラックスしたりと、それぞれの居場所で自由に過ごしながらも、リビングとダイニングがフラットにつながる、家族に寄り添った空間となりました。
LAMP:07と協業