プロの住宅レシピ スロープで繋がる、自然と調和したオホーツクの住まい

川原道崇
オホーツクの壮大な自然を感じる住まいは、目の前に広がるオホーツク海の絶景を最大限に活かした設計が特徴です。住み手は漁師兼画家で、冬は絵を描きながら漁業を営む生活を送っています。そのため、漁に使う大きな車庫とアトリエを備え、生活と創作のリズムを繋げるシンプルで機能的な空間が求められました。
2階にはオホーツク海を望むLDKが配置され、半地下にはアトリエが広がります。室内の壁には地元オホーツクの天然素材、珪藻土を使用し、スロープの床には麦材を使った温もりのあるデザインに。外壁は塗り壁仕上げで、金属は錆びやすいため使用を避けています。室内外の色合いはグレーがかった白を基調に統一され、シームレスに自然と一体化するよう設計されています。
キッチンは鮭漁師としての生活に合わせ、鮭一匹が入る広さのシンクや、食材を分け合うための大きな食品庫を確保。
この住まいの特徴的な点は、スロープによって全室が自然に結ばれていることです。スロープは単なる通路ではなく、空間の繋がりを作り出し、風や光、景色が家全体を通して感じられるような設計が施されています。これにより、各部屋が孤立することなく、家全体が一体となった心地よい暮らしのリズムを生み出しています。自由度の高い設計で、機能性と自然との調和を大切にした住まいです。