プロの住宅レシピ 小さな居場所がつなぐLDK

田野建築設計室
田野 宏昌・友藤 桂子
フローリング

街が一望でき、空が近くに感じる立地を生かしたマンションのリノベーション。

オークやブラックチェリー、ブビンガなど異なる木材を多用することで均質さではなく、暮らしの多様さが馴染む空間を目指した。

塗料

キッチンの天井は、窓辺に向かって斜めに低くなるよう設計。風景との一体感が生まれ、ペイントハウスや屋根裏部屋にいるような体感へ。

南の大開口を持つリビングにはラワン合板の天井で光を抑えた空間に。奥まった場所には白い天井を採用し、明るさのバランスを取った。

マンション特有のアルミサッシやレールは木材を用いて印象を和わらげている。

マンションの一室をリノベーションした住まい。
主室となるLDKは、リビングダイニングであり、子どもの遊び場であり、それぞれの居場所でもあります。限られた面積のなかで「どのように居場所をつくるか」…閉じた個室ではなく、小さな居場所がゆるやかにつながりながら一室空間を構成するアイデアが詰まっています。

例えば、空間の中心に置いたローキャビネットや窓辺のベンチは可動式で、場所や向きを自由に変えることができます。囲むように配置することで落ち着くスペースにも、端に寄せることで開放的な空間にもなり、気分やシーンに合わせて自在に変えられます。
キッチンは壁付けのI型とし、インテリアの一部として見せるデザインとしました。キッチンは水や汚れに強いメラミン材を使用しながらも、引き出しの取っ手を無垢のウォールナット材にすることで、家具のような印象です。食器や器具もリビングの一部として考えることで、空間全体の一体感が高まり、居場所のひとつとなっています。

開口部はもともと全面が掃き出し窓でしたが、あえて一部に腰壁をつくり格子窓のようなデザインにすることで、ベンチに腰掛けて外を眺める居場所として再構成しました。マンション特有のアルミサッシの存在感を無くすため、サッシ框の前には木の柱を立て、床を少し上げて隠し框にすることで、木製建具のような木質空間の雰囲気をつくりだしています。 
                                          
限られた面積だからこそ、多様な居場所と空間のつながりを丁寧に設計。そこに遊び心が添えられることで、「暮らしを楽しむ家になった」と感じています。

Photo : Yohei Sasakura

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採用されている製品

無垢フローリング |東邦木材株式会社
東邦木材株式会社
田野建築設計室
田野 宏昌・友藤 桂子
ここが私の評価ポイント!
一般的なフローリングより長さが短い材料です。短い木材を有効に使う朝鮮貼りを取り入れています。 ナラ材特有の木目と節の表情がどこか愛嬌を感じます。採用したナラ材は北海道産のもので特に木が締まっていて、洋材のオーク材とは違った落ち着きのある上品さを感じます。 足触りはやや硬めですが、そのぶんしっかりとした安心感があります。にぎやかすぎず、静かすぎず、ちょうどよい存在感が魅力です。
採用製品
自然素材の塗料・漆喰|プラネットジャパン
株式会社プラネットジャパン
田野建築設計室
田野 宏昌・友藤 桂子
ここが私の評価ポイント!
本漆喰の薄塗仕上げで、コテ塗やローラー塗など、多彩な仕上げが可能。今回は、比較的手軽にできるローラー仕上げを採用。顔料を加えることで、自在に特注色が可能。漆喰特有の質感と、調湿機能もあり、ビニールクロスにはない自然素材の魅力をもっています。専用の下地壁紙により、伸縮によるひび割れも少なく、新築、改修問わず採用しています。
採用製品
田野建築設計室
田野 宏昌・友藤 桂子

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