プロの住宅レシピ 自然とつながる平屋の暮らし ─周辺環境を味方につけたLDK─

高嶋 頌介・高嶋 裕子
30代のご夫婦が暮らす平屋の新居。
三方を道路に囲まれ、一方には公園が広がるという恵まれた敷地条件を活かし、外部との関係性を大切にした住まいです。 計画するうえで大切にしたのは、「周辺環境をいかに住まいに取り込むか・遮るか」ということです。
まずこだわったのは、開口の位置です。
特に公園に面した西側は景観に恵まれながらも、日射や視線の問題が懸念されました。そこで、公園側にはあえて大開口を設けず、視線が抜けすぎない高さと位置に窓を設けることで、公園で遊ぶ子どもの様子をうかがいながらも、強い日差しや外からの視線をやわらげる工夫をしています。一方、キッチンから中庭に向けては大きな開口を設け、伸びやかな開放感を実現。このふたつの開口の位置をずらすことで、視線の交差を避けながら、外部環境とのつながりとプライバシーのバランスを整えました。
景色の取り込み方にも工夫が施しています。窓フレームや巾木の太さを開口部のサイズに応じて変えることで、最も美しく景色が切り取られるようにデザイン。
室内は木材や漆喰などの自然素材を取り入れ、静かで緑豊かな周辺環境との調和や、人が触れる部分の手触りを意識しました。構造材の梁をあらわしにした天井や、建物の骨格に包まれたようなキッチンにはカウンターとハイチェアを設置し、ご夫婦が向き合ってゆったりと過ごせる空間に。
周囲の環境を味方にする設計によって、暮らしのさまざまなシーンに寄り添う、心地よいLDKが生まれました。。
Photo:tetsuya tsurumi