プロの住宅レシピ 天然乾燥の杉材に包まれたLDK

小西 昌太
緑道に面した細長い住まい。
敷地の特性を活かし、各部屋が緑道側の風景とつながるように設計し、各部屋の開口部から塀越しに緑道や宅内の坪庭を取り込んでいます。
二階LDKの床には、天然乾燥された天竜杉を採用しました。
古来の知恵に基づいた“旬期月齢伐採”という手法で伐られ、葉枯らし天然乾燥された木材は、余分な養分を吸い上げない時期に伐採されるため、反りや狂いが少なく、虫が付きにくく腐りにくいのが特長です。また無塗装で仕上げることで、木そのものの温かさや香りが最大限に感じられ、冬場でも素足で快適に過ごせます。
天然乾燥の杉材は「フィトンチッド」のリラックス効果や消臭・抗菌作用も期待されており、人にも環境にもやさしい素材です。その反面、肌に優しすぎるため傷はつきやすいという特長もありますが、「それもまた暮らしが刻まれ馴染んでいくのが良い」という意見が合致し採用しました。「暖房がなくても暖かい」という声もいただいています。
お施主様との対話を重ね選んだこだわりの素材が、暮らしを温かく包んでくれます。
Photo : 和知 勝