プロの住宅レシピ 地元の木に触れ土間でつながる、家族を育む住まい

下崎建築設計事務所
下﨑 明久

長野県産の杉材に包まれた優しい住まい。家具・建具職人仲間とネットワークによる施工チームで行った家づくり。

リビングから土間を通して和室空間へ。今は子どもたちの遊び場として活用。

家具・建具職人の造作キッチン。

2階は幼い子供たちのための将来の子供部屋。必要に応じて収納家具で仕切る予定。

子育て世帯にとって、「子ども部屋をどうつくるか」は、広さや配置、仕切り方などがポイントとなります。今回の住まいは、子ども部屋で過ごす時間が少ないということもあり、子ども部屋を抑え、あえてつくり込みすぎない設計としました。

子どもが自分の部屋で過ごす時間は限られているということを踏まえ、将来必要になるスペースは用意はしながらも、個室のような間取りではなく、家具や収納などを使って仕切る柔軟な設計としました。住まい全体はオープンで、可変性の高い構成です。あわせて1階も小さく区切らず、LDKをひとつながりの大きな空間にすることで、家族の動きや気配が自然と伝わる伸びやかな暮らしを可能にしました。

このLDKで特徴的なのは、玄関からつながる土間です。
庭と玄関、室内とのあいだに設けることで、土間を介して南側の庭と室内がつながり、外と内を自由に行き来できる、開かれた空間です。玄関や庭から靴を履いたままやり取りができる便利さもあります。

開いた設計に加え、素材選びもこだわっています。
地元長野県産の杉を活用することで、住まいの心地良さだけでなく、地域の山の保全にも配慮。木を使うことで、林業や製材業といった地域の産業を支えることにもつながります。山に手が入り、持続可能な循環が生まれるという考えから、地元の木材を積極的に採用しています。
県産材を表で使うことで、木そのものの美しさや質感が室内にやわらかな雰囲気を与え、空間全体にあたたかみが生まれます。無垢材ならではのあたたかさや足触りのやさしさには、やはり違いがあります。特に寒さの厳しい長野では、その心地よさが暮らしの質にも大きく関わってきます。小さなお子さんがいるご家庭なら、日常の中で自然に本物の木に触れながら育っていく環境をつくってあげたいですね。住まいに“親しみやすさ”をもたらす素材として、無垢材はやはり大切にしたいと考えています。
地域の自然とつながりながら、子育てや家族の暮らしにそっと寄り添う…そんな、やさしさに包まれた住まいです。

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