プロの住宅レシピ 好きが詰まったワンルームのシンプルな住まい

高橋一真
夫婦ふたりの暮らしに必要なものを見極めて、できるだけコンパクトに、無駄のない動線で設計された住まい。キーワードは「ワンルーム」「ロフト」「庭」「家具との調和」。
夫婦の植物好きが高じて、庭はご自身と造園家のご友人と一緒に、愛情を込めて作り上げました。その庭は家のどこにいても目に入るよう、キッチン・ロフトを南面へ45度ふり、視線が自然と緑に向かうように設計。空間が縦・横、斜めにも広がり、実際よりも広く、開放的に感じられる工夫が随所に凝らされています。
リビング・ダイニング・キッチンは、南側に大きな開口を設け、たっぷりの光を取り込む設計。あえて開口部の高さを少し抑えることで、視線が自然と庭へと流れ、光と緑に包まれた空間が広がります。天井高は約3.7mと開放感たっぷり。一方、寝室は2.1mとやや低めに抑え、こぢんまりとした安心感のある空間に。
空間はワンルームで仕切りがなく、家具がぴたりと収まるように設計されているため、余計な装飾がなくとも美しく整った佇まい。ロフトはご夫婦の趣味と収納のスペースとして、住まいに立体的な豊かさを与えています。
「小さく暮らす」ことを前向きに楽しみ、日常に好きなものだけを集めて過ごす。そんなシンプルで豊かな暮らしが、ここには息づいています。