プロの住宅レシピ 登山 × 犬猫 × バリアフリー ~好きなことを満喫できる終の住処~

明野設計室
明野岳司・明野美佐子

個性あるからし色の玄関ドア。大通りからの音や視線をかわすためにRCの壁を効果的な位置に配置している。庭から駐車場へと続くフェンスは頑丈で普遍的なものを。そっけないくらいの見た目がちょうどいい。

以前、洋菓子店で利用していたカウンター材をキッチンカウンターに再利用

山小屋で過ごすあたたかな時間を引き立てる薪ストーブや木の質感

NESTと名付けた小さな書斎コーナー

目隠しにもなる玄関前の壁はガーデニングにも使用でき、生活に彩りを添える

60代まで洋菓子店を営んできたご夫婦がリタイアを決め、店舗だった建物を住宅として建て替えることに。
ご要望は明快で、「大好きな登山と犬や猫との生活を楽しめる、バリアフリーの平屋がほしい」でした。

間取りはLDK+寝室+書斎というシンプルなもの。山が好きなお2人は毎週のように山歩きに出掛けるそうで、たくさんお持ちのザックを収納できるスペースと、汚れもの専用の洗濯機置き場を玄関にプランしました。
洗濯機はわんちゃん用のタオルなどを洗うのにも役立ちます。

老後を過ごす"終の住処"という意識も高く、万が一車椅子生活になったときのために、床の段差をなくし、室内の建具はすべて引き戸に。ドアと違って開け放したまま行き来できるので、現在の暮らしでも移動がスムーズです。いっぽうで、洗面室などの水回りは、引き戸を開けていてもLDKから見通せない角度に配置し、リビングのくつろぎ感を損なわないようにしました。

近年の一戸建て、特にリタイア世代の住まいに欠かせないのが防犯対策です。このお宅では、南側のメインの開口部や、寝室の小窓にガラリつきの木製雨戸を設置。シャッター代わりに防犯に役立ち、閉めておいてもガラリを通して風が抜けていきます。水回りに採用した横長のハイサイドライトは、高い位置にあって人が通れないサイズなので、空き巣被害の心配がありません。

ご主人のたってのご希望で、リビングには薪ストーブを。山小屋で過ごすあたたかな時間をご自宅でも楽しめます。育てているランの鉢を取り込めるよう、窓際をタイル張りのインナーテラス風にしたのも、自然を愛するお2人ならでは。ずっと犬を家族として迎えてきたというご夫妻は、新居でも愛犬との暮らしを楽しまれています。

長年お仕事場だった店舗は取り壊しになりましたが、その記憶を新居にも引き継ぎたいと、カウンター材をそのままキッチンカウンターとして再利用しました。店内に飾られていた木のレリーフやテーブルなどもリユース。新築の住まいでありながら、思い出や愛着のあるものを生かすことで、お2人の紡いできた時間が途切れずに続いていく感覚を味わえると思います。

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