プロの住宅レシピ 和と機能が息づく、お寺の境内に佇む平屋の住まい

溝口泰史
数百年の歴史をもつ寺院の境内という特別な環境に配慮し、日本瓦と漆喰で仕上げた寄棟屋根の平屋建築。周囲と調和し、控えめな佇まいを意識しました。日本瓦の屋根をあしらい、周囲の景観に溶け込むよう設計された外観は、落ち着きと品格を漂わせます。
来客の多い住まいであることから、和室・ダイニング・リビング・キッチンといった各空間を機能ごとに整理し、パブリックとプライベートを明確に分けた構成に。玄関から入ってすぐの場所に設けた和室は、ゲストをもてなす場として独立性を持たせ、LDKと程よく隔てています。
隣接するダイニング、南東に配置したキッチンからは、外の自然を感じられるように設計され、日々の暮らしの中に四季の移ろいが自然と入り込むように。大きな開口を設けたリビングは、景色とつながりながら開放的で心地よい空間を演出します。
木のぬくもりに包まれた室内には、日本の美意識と機能性が同居し、訪れる人をやさしく迎え入れます。