プロの住宅レシピ 「つながる暮らし」を設計した住まい

小川裕香建築設計事務所
小川 裕香
蜜蠟ワックス

照明

子育て世帯の新築住宅。お施主様の希望は、「家のどこにいても家族の存在を感じられる住まい」でした。
そこで、空間を個室で区切るのではなく、家全体をひとつの大きなワンルームのように設計。特に子ども部屋はあえて設けず、家族が自然と顔を合わせ、会話が生まれる住まいを目指しました。
 
暮らしの中心には、特注で製作した大きな造作ダイニングテーブルを配置。食事の時だけでなく、勉強や読書、趣味の時間、家族の語らいの場としても使えるようにし、自然と家族が集まる居場所となっています。
背面には大容量の収納棚を設け、一部は引き戸付きの“隠す収納”とし、勉強や作業道具をすっきりしまえるように工夫。もう一方には、ご夫婦が集めた雑貨を飾る“見せる収納”として趣味の世界も楽しめるスペースとなっています。

1階と2階は、家の中心に設けた大きな吹き抜けでつながり、子どもたちが自由に回遊できる動線を確保。間仕切りの壁はほとんど設けず、必要なゾーニングは家具や低い壁でゆるやかに行うことで、どこにいても家族の気配を感じられる空間を実現しています。
内装には、床に無垢材、壁にも板張りや塗り壁を採用。自然素材を用いることで調湿効果にも優れ、梅雨の時期でも湿気がこもりにくく、冬場は素足でも暖かいなど、一年を通して快適な住環境が整います。子どもたちが床に寝転んで遊ぶ姿も、この住まいならではの微笑ましい日常の一コマです。
「家族がつながる仕組み」を住まいの中心に据えることで、暮らしの中で自然とやさしい関係性が育まれる住まいとなりました。

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採用されている製品

木材防護保持剤|未晒し蜜ロウワックス
有限会社 小川耕太郎∞百合子社
小川裕香建築設計事務所
小川 裕香
ここが私の評価ポイント!
床仕上げには、無垢の杉板に「未晒し蜜ロウワックス」(有限会社 小川耕太郎∞百合子社)を採用しました。 塗装を検討する際、小さなお子さんが素足で歩いたり、手をついたりする床だからこそ、できるだけ安全で自然なものを選びたいと考えました。その中で出会ったのが、蜜ロウと植物油だけでつくられた、無添加の天然ワックスです。 木の質感や香りを損なうことなく、自然素材の風合いをそのまま生かした仕上がりが得られ、施工後もさらっとした触感が持続。また、お施主様自身で簡単に塗り直しや手入れができることも、大きな魅力のひとつです。 “使いながら育てていく”という感覚が、無垢材の家との相性ともよく、暮らしに寄り添う自然なメンテナンス材として、自信を持っておすすめできる製品です。
採用製品
照明|ルイスポールセン
ルイスポールセンジャパン株式会社
小川裕香建築設計事務所
小川 裕香
ここが私の評価ポイント!
ダイニングには、Louis Poulsen(ルイスポールセン)の〈Toldbod 120〉を3灯設置しました。小ぶりながらも洗練されたフォルムと上質な素材感が、空間全体をやさしく引き締めてくれます。 照明は本来、あまり目立たせず間接照明を中心とした空間づくりを意識していますが、ダイニングのように視線の集まる場所には、あえて“見せる照明”を選定。長さのある造作テーブルに対し、3灯をバランスよく吊るすことで、空間にリズムと奥行きが生まれました。 選んだ〈Toldbod 120〉は、さりげない差し色が施されたロープ部分や柔らかな曲線のシェードが特徴的で、食事だけでなく、趣味や勉強など多用途に使うテーブル上を心地よく照らしてくれます。 シンプルな空間に程よいアクセントを与えながらも、日常に自然と溶け込む静かな存在感があり、まさに空間の“主役”として機能する照明です。
採用製品
小川裕香建築設計事務所
小川 裕香

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