プロの住宅レシピ “好き”を集めてつくる、大人の遊び心溢れるリノベーション住宅

築40年以上の木造戸建て住まい。小さな部屋に細かく仕切られた昔ながらの住まいを、「広く、みんなが集まれる空間にしたい」。そんな奥様の想いから始まったリノベーションです。
「壁を抜いて、大きな部屋にして親戚や友人が集まって過ごせる家にしたい 」という希望を受けて、既存の構造を調査。そこで住まいの真ん中にある柱はどうしても残す必要があることがわかりました。
この条件を逆手に取り、この「真ん中」が住まいの象徴となるような、柱を中心とした回遊性のある空間を提案しました。
また奥様が「使ってみたい」と集めた素材の数々も、この住まいの魅力です。
中でも印象的な赤のベネチアンガラスタイル。色選びに多くのサンプルを取り寄せ、打ち合わせを重ねて一番印象的な赤をセレクト。
古く見える建具も、実はすべて新しく造作したもの。高さのある空間に合わせてつくったことで、レトロな雰囲気を守りながらも、伸びやかな空間となります。
さらに「和紙を貼りたい!」というリクエストから、名古屋の画材屋で選んだ数種類の和紙を現場で検討しながら貼る場所を決定。このような、後から生まれる遊び心も、現場で調整しながら叶えていきました。
リビングから続くキッチンは、ずっと立っていたくなる「自分好み」の空間に。キッチンのサイズやシンクの使い勝手よりも、奥様の好みを優先し、楽しくなる場所づくりをしました。
こうした数々の「好き」を受け入れ、かたちにしていくプロセスには、お施主様や職人の方々との密なコミュニケーションがあったからこそ。すべての願いを叶えることはできなくても、納得しながら、なにより楽しみながらする家づくりで、満足度の高いものとなりました。
多様な素材が調和した、大人の遊び心がたっぷり詰まった住まいです。
Photo:澤﨑信孝