プロの住宅レシピ 間がつなぐ、光と気配のめぐる柔らかな居場所

合同会社 TAWs DESIGN
田辺 誠史

柱・梁をあらわしにしたシンプルな構造。バルコニーの床は取り外しが可能なため、柔軟にメンテナンスができる。

通り土間の天井には、節のない桧材を採用。無垢材の温もりを保ちながら空間に静けさと安定感をもたらしている。

左の写真はご主人の部屋から土間・リビングを覗く。土間・吹き抜け・バルコニーの3つの間を立体的に繋ぎ、光や風、家族の気配が縦横にめぐる。

2Fの廊下の幅は1.8mと広く、作業をしたり子どもが遊んだりできるスペースとしても活躍。吹き抜けに面する2階の個室には内窓があり、気配がすっと届くように設計。

外にあるバルコニー・インナーバルコニーから、中の吹き抜け・部屋が連続。空間を3次元で捉えた設計は、「空(から)の間」という表現に相応しく、心地よい立体感を生んでいる。

埼玉県春日部に6人家族と猫2匹が暮らす、5LDKの広々とした住宅。



通り土間・吹き抜け・バルコニーの「3つの間」を立体的に繋いだ空間に、光と風がめぐり、家族の気配がふわりと通り抜けます。
設計全体は、ご主人の意向で和の要素を基調に構成され、家族それぞれのリズムを静かに支えています。



家の内と外をゆるやかにつなぐこの空間は、農村地域の名残りがある豊かな風土と、ご友人を招いてBBQを楽しむようなアウトドアなライフスタイルに呼応しています。

この住まいの中心にある最も象徴的な空間は、エントランスにある通り土間。

夏には、この通り土間によって空気が抜けて涼しさを生み、冬には、土間床が日射熱を蓄えることで夜間の温度低下を抑える役割も担っています。



この計画により生まれる自然な風の流れは、機械に頼らず快適に過ごす工夫であり、日本人の本来の暮らし方にも通じる、環境へのやさしい配慮でもあります。



土間をひとつ隔てた先に設けられたのは、帰宅が遅くなるご主人の離れの部屋。リビングから少し離れたこの場所は、晩酌を楽しみながらひと息つける、大人のための静かな余白です。



2Fには屋根の勾配をそのまま活かした高く開放的な天井。
そこにシンプルなペンダントライトとブラケットライトで照明の重心を低くすることで、光のバランスを整えます。

このように生体リズムに則った健康への配慮が、家族をやさしく包んでいます。



家族6人と猫たちがちょうどいい「間合い」を保ちながら暮らしており、賑やかさと柔らかさが共存する、日常そのものを包むような居場所がそこにはありました。

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田辺 誠史

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