プロの住宅レシピ 二つの螺旋がつくる「ハレ」と「ケ」の住まい

タトアーキテクツ
島田 陽

(左)共有の書斎スペースから続くリビング/(右)玄関から見える書斎スペース

書斎スペースから続くリビング。その上にキッチンダイニングが続く。

キッチンダイニングから続く、サブリビング。

屋上は外からの視線を気にすることなく開放的な雰囲気。

お施主様の希望は、限られた敷地の中でも風や光を感じ、広がりを感じる住まい。さらに、家族みんなで使える書斎を設けたいということでした。
これらの希望を叶えるため、二つの螺旋が絡み合うようなスキップフロアで住まいを構成しました。この二つの螺旋が交差することで、住まいの中に“ハレ”と“ケ”の空間が生まれています。

“ハレ”にあたるのは、玄関から屋上までをつなぐ、暮らしの中心となる螺旋ルートです。
玄関を入って一つ上がると、家族で共有できる書斎スペース。その上にリビング、さらに奥にキッチン・ダイニングが続きます。もう一段上がると、サブリビングが広がります。サブリビングは、子どもたちが自由に遊べる場所として、多少散らかっていても気にならない受け皿のような場所。こうした空間があることで、ダイニングなどの生活の中心が常に整った状態に保たれ、暮らしにゆとりが生まれます。
壁には、モイスという薄いグレーの素材を採用。素地仕上げならではのやわらかな光の拡散と、高い調湿性能で、明るく気持ちのいい空間をつくり出しています。

一方、“ケ”にあたるのが、もうひとつの螺旋です。こちらはキッチン・ダイニングから水まわりを通って屋上へとつながるります。バスルームや家事室といった作業空間を経由し、さらにバスルームから玄関側へと下る動線上には、キッチンパントリーを兼ねた部屋や子ども部屋を配置しています。これらのスペースは、少し落ち着いた空間となるよう、仕上げにはラワン合板を使用。ハレの空間とのコントラストが、住まいにメリハリを与えます。

ひな壇状に造成した斜面地の高低差を活かした窓の配置で光の入り方や視線の抜けを丁寧に設計。                                                                                                                                                   玄関から屋上まで、自然と導かれるように上がっていく動線は、「気がついたら屋上に着いていた」…そんな感覚を意識しています。限られた広さの中で、たのしくのびやかに暮らすための工夫とアイデアが詰まった住まいです。

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島田 陽

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