プロの住宅レシピ 扉のないつながりが生む、回遊性のある都市マンション

品原大規
築25年ほどの都心マンションを舞台に、機能性と見た目をシンプルに更新した2LDK規模のリノベーション。既存の構造や間取りを極力活かしながら、床・壁・照明を刷新し、住まい全体をすっきりとした印象へと導いています。
リビングと寝室は扉で隔てる従来のスタイルではなく、空間同士が滑らかにつながるプラン。回遊しやすく、適度な距離感を保ちつつ、自由な移動と視線の伸びを確保しています。廊下を通さずとも行き来できる動線は、日常に自然な流れをもたらします。
トイレや収納は飛びだすことなく室内に収まり、見た目の整頓感を損なわない設計。天井はもともとバラバラだった高さを可能な限り引き上げ、高さの違和感を抑えつつ、空間の広がりを演出しています。
既存の水回り設備は軽微に手直しを加えた程度に留め、新旧の調和を実現。全体の意匠は、住まい手のインテリアに合わせやすいよう、できる限りシンプルにまとめられています。
既存建物の特性を見極めた上で機能と美観の両立を図り、住まい手が自由に暮らしを整えられる柔軟性を残すデザインに。構造を活かしつつ、日々の生活に心地よい距離感と開放感をもたらす、洗練された都市の住まいが生まれました。