プロの住宅レシピ 限られた敷地でも豊かに暮らす、都心のコンパクトハウス

角田佳瑞彰
都心の限られた敷地に建つこの住まいは、小さな面積ながら開放感を感じられる設計が魅力です。約5mの吹き抜けがリビングを縦に大きく広げ、さらに視線の抜けを巧みにデザインすることで、狭さを感じさせません。2階に配置されたリビング・ダイニングは、家族が自然と集まり、いつも顔を合わせられる場所。死角のない設計により安心感があり、コンパクトながらゆとりを実感できます。
外部空間にも工夫が凝らされ、広めに設けたアプローチは雨を避けつつ荷物の出し入れをスムーズにし、庭やバルコニーは分散配置することでアウトドアを楽しめる場に。
隣家に囲まれた環境でありながら、バルコニーを高く設けて視線を遮り、また植栽を配することで、空を眺めたり緑を感じたりできる工夫が施されています。コンパクトながらも、自然とのつながりを大切にした心地よい空間が生まれました。
素材は本物の木にこだわり、床にはすき板を採用。白一色にせず木の質感を生かすことで、街並みにも温かみを添えています。コテージに滞在しているような感覚と、子どもの成長に合わせて自由に使える柔軟さを併せ持つ、都心ならではのコンパクトで豊かな住まいです。