プロの住宅レシピ 変形地に導かれた穂高の家 北アルプスを望む暮らし

藤松幹雄
長野県南穂高の田園地帯に建つこの家は、ご両親の敷地に沿うように実現した住まいです。敷地は「への字」に折れ曲がった変形地で、景観条例により隣家や道路から一定の距離を保つ必要がありました。その結果、建築可能な範囲は限られ、土地の形状に導かれるようなプランに。
家族4人が暮らす1階は、LDKと水まわりを一体化した伸びやかな空間。折れ曲がり部分に設けられたリビングはスキップフロアで2段上がり、周囲からの視線を外しながら北アルプスの山並みを望むことができます。窓一面に広がる朝焼けや夕焼け。日常に取り込まれる自然の表情です。
床材には良質なカラ松の無垢材を使用。テーブルや階段の手すりは地元の職人による手仕事です。リビングを照らす細長い照明は松本在住のガラス作家による一点物。地域の素材と技術を随所に生かした空間です。
子供室は将来仕切れる設計となっており、成長に合わせた使い分けが可能です。構造や断熱性能も十分に備え、土地と自然に寄り添う住まい。家族の時間を温かく包み込む場所です。