プロの住宅レシピ 上質を日常に。住宅密集地に建つ、狭小ながら豊かに暮らす工夫

遠藤誠建築設計事務所
遠藤 誠

ダイニングは天井高で開けた空間に。リビングは天井が低い籠り感のある落ち着いた空間に。

採用する素材の種類を減らすことで、よりシンプルで上質さを出しながらシームレスに空間が繋がる。

段板とスタディーコーナーの机が一体化。

猫用のロフト。片持ち階段と細身の手摺で空間に圧迫感を感じさせない。

この住まいで大切にしたのは、飾らない「上質さ」です。
きらびやかな高級感ではなく、素朴でシンプルながらも上質さを感じる住まいになるよう、素材選びやデザイン、仕上げを丁寧に行い、シンプルで上質な暮らしを追求しています。

住まいの設計で心がけたのは「黒子に徹する住まい」。
家具や小物のセンスが光る施主の暮らしを支えるため、建物自体は過剰に主張せず、シンプルでミニマルをベースとしています。
壁には漆喰の仲間であるシリカライムで仕上げ、床にはオークのフローリングを採用。これらの素材は決して安価でなく、施工にも手間がかかりますが、静かに溶け込む上質さを優先しました。

敷地はわずか九坪という狭小地ということもあり、空間を広く感じさせるための工夫も詰まっています。住まい全体はシームレスにつながり、仕上げを揃えることで連続性を持たせています。
階段の段板を兼ねたスタディコーナーや廊下と兼ねたクローゼットなど、「機能を兼ねる」設計で、暮らしに窮屈さを感じさせません。
住宅密集地のため外の景色には期待できない環境ですが、開口部は最小限にし、ハイサイドライトから光を取り入れたことで明るく、外からの視線も気にせず暮らせます。
環境に対する多くの条件がある中で、豊かに暮らす工夫と上質さの追求によってできた住まいです。

Photo : 大崎衛門
動画で見る:https://www.youtube.com/watch?v=GEy9kFlEP70

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