プロの住宅レシピ お気に入りの家具やアートと暮らす
神田 陸
「家具とアートの家」と名付けられたこの住まい。
お施主様は、いつかの新築を夢見て昔から収集してきたアートや家具を、今回の住まいにぜひ活かしたいと考えていました。持っているものは洗練されており、センスも光るコレクションです。
住まいの完成をもって最も大切にしているのは、お施主様が空間に入った瞬間、「似合う」と感じること。家具のレイアウトやカラーリング、アートの置き方など、さまざまな要素の調和が大切です。この「似合う」を追求するためには、お施主様と一緒に過ごす時間が欠かせません。お茶を飲みながら雑談をしたり、何気ない会話の中で自然と互いの感覚や好みが理解でき、住まいのビジョンが少しずつ形になっていきます。
今回の住まいの設計で大切にしたのはサイズ感です。
サイズ感や距離感で空間の雰囲気が決まるという考えから、設計段階から置くものの種類やサイズをすべて把握したうえで計画しました。
空間の密度感にもこだわり、広々とさせすぎず、あえて適度な密度感をプラスすることで、距離感や生活のリズムが自然に感じられる住まいとなっています。
素材選びも重要です。
ビンテージ家具に合わせて、濃い色味のチークを採用。床と天井に濃い色を配置することで圧迫感が生まれないよう、奥行きや天井の高さ、幅のバランスを計算しています。
お気に入りの家具とアートが中心の住まいづくりは、生活の一部としてアートや家具が自然に存在する、豊かな住まいとなりました。