プロの住宅レシピ 母屋の記憶を継ぐ 開かれた住まい

アトリエウィ一級建築士事務所
宇佐美愛

土間と縁側がひと続きの空間。屋内に取り込まれた縁側が、外との距離をやわらげ、人が自然に集まる居場所をつくり出す。

大開口から光が差し込み、土間と縁側がひと続きの居場所となる。外とのつながりを感じながらも、室内はやわらかに包まれる空間に。

階段上部には本棚を造作し、小さな書斎スペースとした。家の中心に置かれた開かれたライブラリーが、暮らしの余白を生む。

屋根と壁が連続する構成が、陰影のある表情を生む。内外をつなぐ軒下空間は、季節の移ろいを身近に感じさせる場である。

深い軒のある外観は、力強さの中に落ち着きを備える。黒の外壁が周囲の風景に溶け込み、現代的な母屋のたたずまいをつくり出している。

住み手のご主人の実家に建てられたこの住まいは、もともと大きな母屋があった場所に新たに建てられました。隣にはご両親の住まいがあり、家族の暮らしがゆるやかにつながる敷地構成です。母屋としての機能を引き継ぎながら、夫婦ふたりのための新しい住まいを実現しました。
法事や親戚の集まりにも対応できるようにしながらも、ふたりの暮らしにちょうどよい規模感を意識。地域の人が訪れやすく、開かれた雰囲気の家としました。一方で、防犯や暑さなどの課題にも配慮し、縁側や土間を屋内に取り込むことで、内外の中間領域を設けています。南側の大きな窓から光が入り、室内の土間と縁側が人の集まる居場所となっています。
LDKと仏間の間には階段室を設け、来客空間と夫婦の生活空間をやわらかく分けました。階段上部には本棚を設え、書斎としても使えるオープンスペースに。ご主人が好きな漫画をゆっくり読める小さなライブラリーのような場所です。
2階は夫婦それぞれの個室とし、気配を感じながらもプライベートな時間を保てる構成。上部の窓からは夜空や星を眺められ、自然との距離を感じながら暮らすことができます。母屋の記憶を継ぎつつ、人が集い、つながり、そして穏やかに暮らせる住まいです。

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