プロの住宅レシピ 母屋の記憶を継ぐ 開かれた住まい
 
                              
                  宇佐美愛                
              住み手のご主人の実家に建てられたこの住まいは、もともと大きな母屋があった場所に新たに建てられました。隣にはご両親の住まいがあり、家族の暮らしがゆるやかにつながる敷地構成です。母屋としての機能を引き継ぎながら、夫婦ふたりのための新しい住まいを実現しました。
法事や親戚の集まりにも対応できるようにしながらも、ふたりの暮らしにちょうどよい規模感を意識。地域の人が訪れやすく、開かれた雰囲気の家としました。一方で、防犯や暑さなどの課題にも配慮し、縁側や土間を屋内に取り込むことで、内外の中間領域を設けています。南側の大きな窓から光が入り、室内の土間と縁側が人の集まる居場所となっています。
LDKと仏間の間には階段室を設け、来客空間と夫婦の生活空間をやわらかく分けました。階段上部には本棚を設え、書斎としても使えるオープンスペースに。ご主人が好きな漫画をゆっくり読める小さなライブラリーのような場所です。
2階は夫婦それぞれの個室とし、気配を感じながらもプライベートな時間を保てる構成。上部の窓からは夜空や星を眺められ、自然との距離を感じながら暮らすことができます。母屋の記憶を継ぎつつ、人が集い、つながり、そして穏やかに暮らせる住まいです。
 
                
                 
                
                 
                
                 
                
                