プロの住宅レシピ コンパクトな住まいに豊かさを。サンクンリビングのある暮らし
奥山 裕生
延べ床23坪のコンパクトな住まい。
限られたスペースで心地よく暮らすために、まず「割り切るもの」を明確にしました。
例えば、LDKに大きな家具を置くと、リビングやダイニングは狭くなってしまうため、ソファや大きなダイニングテーブルは置かない選択をし、代わりにリビングでは床を二段掘り下げた「サンクンリビング」を採用しました。沈み込むような形のリビングは、来客の際も座る場所が確保でき、コンパクトながら居心地の良い空間となっています。ダイニングでは省スペースを意識して、備え付けの三人用カウンターを設置しました。
テレビカウンター背面には凹凸のあるタイルを採用。上から下へ光が落ちるように間接照明を設けることで、陰影を際立たせ、空間に奥行きをつくります。
リビングの足元には間接照明器具を設置。自然界では感じにくい非日常的な光を演出することで、空間に特別感が生まれます。ダイニングの照明は必要な箇所だけを明るくするピンスポットダウンライトを採用し、空間にメリハリをつくります。
ダイニング上部に設けたロフトにもひと工夫を。
一般的なロフトは風通しが悪く、熱がこもりがちですが、このロフトには窓とは別に「穴」を設けることで風の通り道をつくり、快適に過ごせるよう工夫しました。「穴」には落下防止のカウンターを設置。座って足を投げ出しながら映画館のようにテレビが見れるくつろげる場所として活用できます。機能に遊び心をプラスすることで、特別な居場所となりました。
限られた空間だからこそ、割り切ることを明確にし、機能に遊び心をプラスすることで、コンパクトながらも特別感を感じるLDKが実現しました。