プロの住宅レシピ 屋外のような屋内、屋内のような屋外。外を感じられる多目的空間を創る。
木名瀬佳世
私は家を設計するときに、外や自然と断絶したような建物ではなく、屋外を感じられる空間を設けることが多いです。『見川の家』では半戸外のテラスを創りました。庭に面した縁側として使え、ガラスを閉じて屋内のサンルームとして使うこともできます。『鉾田の家』では大きな縁側を設け、ガラス戸を閉じれば広々としたLDKの一部、さらにLDKとの間の障子を閉めれば洗濯物を干すサンルームとして使える構造にしました。この地域は畑が多く強風で土埃がつきやすいため、室内干しスペースが必要で、冬場の気温の低さを考えてもベランダよりも使いやすいと考えました。『高萩の家』は施主の方の希望もあり、2階に広々と開けたテラスを設けています。この家は海に近く、景色を見ながらテラスで魚を焼くような暮らし方をしたいという意向を受けてかなりオープンな空間になっています。ただ海水浴シーズンなど、人通りが多い時期もあるので完全に屋外ではなく、ガラス戸を閉じると屋内となる作りにしました。このように多目的に使える半屋外の空間を家のどこかに持つことで、外の空間が持つ豊かさと屋内の快適さを楽しめる家になるかと思います。