プロの住宅レシピ 光と風がめぐる、人が集まる開かれた住まい

石井航建築設計事務所
石井 航

建築面積14坪程の住まい。一つの大きなワンルームにそれぞれの居場所を散りばめる構成。

階段の蹴込板をなくすことで、視線が抜ける開放的な空間に。

ラワンの木製システムキッチンは、木を多用する空間に自然と馴染む。

東側に大きく設けたテラス。変形地で東側の凸状部分を活かしてる。

2階に設けた南側と東側の大きな窓、そしてハイサイドライトから入る光が、階段やルーバーの隙間を通って1階へと降り注ぐ。

ご近所づきあいの盛んな地域に暮らしていたご夫婦。お子さんの誕生をきっかけに新しい住まいを求めて土地探しを始めました。「友人たちを気軽に家へ招きたい」という希望から生まれた住まいです。

玄関を入ると、扉のないひらかれたLDKが訪れた人を迎え入れます。
天気のよい日にはテラスの窓を大きく開け、屋内外を行き来しながら食事を楽しめるなど、人が自然と集まり自由に過ごせる住まいを目指しました。
「部屋で区切るよりも自由に過ごせる居場所がほしい」というお施主様の希望のもと、2階の寝室のみを個室とし、ライフスタイルに合わせて、将来的には間取りを柔軟に変えられるようにしています。

気持ち良く暮らせるよう、光の取り入れ方や空調計画にもこだわっています。
こちらの敷地は、南側に隣家が迫り、南の光が取り込みにくい環境でした。そこで東側の道路に面してウッドデッキを設け、塀で外からの視線を遮りながらも気兼ねなく大きく開ける計画としました。
一方で、南の光もできるだけ取り入れるため、住まいの中心に階段を配置し、二階の床の一部をルーバー状にすることで、二階から南の光を取り込み、吹き抜けを通じて一階へ届けます。トップライトなどの光も、吹き抜けを介して家全体へ広がる設計とすることで、住まい全体が明るくなります。

空調面では、個室を設けず上下階の空気をシームレスにつないだことで、冷暖房の効率が高まります。床下エアコンと小屋裏冷房方式を組み合わせ、夏は冷気が階段やルーバー床を通って自然に下降し、冬は1階の床下に暖気を吹き込むことで温かい空気が上へと広がります。建物の特性と空気の性質を活かしたこの仕組みにより、最低限のエアコンで家全体をまかなえる効率的な空調計画が、快適な暮らしを実現しています。

内装では、「仕上げる部分」と「仕上げない部分」を明確にし、予算とのバランスを取りながら計画を進めました。天井などはあえて仕上げず、構造を現しとしてデザインに活かしています。見せる木材が美しく見えるよう骨組みの見え方にこだわり、模型を用いて景色の見え方まで共有しながら、丁寧に仕上げた住まいです。

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