プロの住宅レシピ 住まい手とつくる、他にはない「楽しい家」
「他にはない“楽しい家”をつくりたい」というのがお施主様の一番のご要望でした。
ハウスメーカーをいくつも回られたものの、どこかしっくりこない…。そんななか、以前手掛けた住まいの木組みがもつ豪快なスケール感や、吹き抜け空間を気に入ってくださり、一緒に住まいづくりがスタートしました。
2階のLDKのV型のキッチンは、この住まいの特徴のひとつです。
当初は既製品のV型キッチンをご希望されていましたが、住まいの形状に対してもっとゆるやかな角度にすると家族の動線にピタリと合致しため、造作キッチンとしました。デザイン性だけでなく調理の可動域が広がり、子どもの様子も見守りやすくなったと喜ばれています。さらに空間に広がりを感じさせる視覚効果も生み出しています。
住宅ではこのように角度を付ける事が有効に働く場合があります。
たとえば、スタディースペースのカウンターの角を斜めにカットすることで、引っかかりがなくなり人の動きをスムーズにします。また、ダイニングに設けた壁付けのベンチは、省スペース化を図りながら、背もたれとなる壁を斜めにすることで座り心地が向上。窓の外へと視線が抜け家族のお気に入りのスペースに。
斜めのラインは単なるデザインではなく、取り入れることでスムーズな空間の流れや身体的な調和を生み出し、機能性や利便性も高まります。
リビングでは「映画を楽しみたい」というご要望に応え、壁には高千穂シラスの左官材を採用しました。
映像の美しさはもちろん、一般的なクロスでは音が反響してエコーが生じやすいのに対し、この素材は音をほどよく吸収してくれるため、より快適な鑑賞環境をつくることができます。
天井はあえて細かく梁を架けて凹凸をつくることで、吸音・反射のバランスを調整しました。
お施主様にとっての「楽しい住まい」を追求した結果、コミュニケーションの段階から会話が弾み、住まいづくりの過程そのものが楽しいものとなりました。最終的に「本当に毎日の生活が楽しい」という声をいただく住まいが出来上がりました。
Photo:STUDIO DUCK 内山昭一