プロの住宅レシピ ガラス越しに広がる、二層の中庭
100平米に満たない敷地に建築面積40%と限られた条件の中で、この住まいの核となったのが「中庭」でした。
この中庭は、単なる“抜け”の空間ではありません。上下で異なる使われ方があり、昼と夜で雰囲気が変わることで、さまざまな表情を見せてくれます。
中庭に面する部分はすべてガラス張りとし、「反射」を活かした設計としました。
中庭内部のルーバーや素材がガラス面に映り込むことで、実際の広さ以上の奥行きや広がりを感じられます。視線が中庭を介して住まい全体に抜けるため、どこにいてもオープンで伸びやかな住まいを体感できます。
さらにこの中庭は、「二階建ての中庭」とも言える構成です。
1階はウッドデッキのテラスとし、落ち着きと重厚感のある仕上げに。日常の延長にありながら、どこか非日常を感じられる場所となっています。
一方、2階はグレーチングのバルコニー。ライトな床仕上げで、明るく軽やかな北欧テイストの空間です。テーブルを出して外で過ごすなど、セカンドリビングのような役割を担うと同時に、床から下階へ光を落とす役割も果たしています。
夜には中庭に植えた山取りモミジが、アッパーライトで照らされることで、枝の輪郭がルーバーに映し出されます。光によって浮かび上がる影は、昼間とはまた違った印象的な風景をつくり出します。
ガラス張りの住まいだからこそ、「すっきり」を徹底する工夫も欠かせません。
ダストボックスやゴミ箱は天板に開口部だけを設け、投げ入れるだけの仕様にするなど、極力視界に余計なものが入らないデザインに。
日常生活で散らかりがちな部分を想定し、玄関の床下など床の立ち上がりを活かした収納を設けることで、生活感を感じさせない住まいとしました。
中庭まわりのサッシには、木造住宅でありながらビル用サッシを採用。ガラス面を極力すっきりと見せることで、空間の広がりを最大限に引き出しています。
Photo : 矢野紀行写真事務所