プロの住宅レシピ 木造建築の美意識を受け継ぐ、感性を育む平屋の暮らし
長谷 守保
美意識が高く、こだわりを大切にされているお施主様。今回の住まいでは、日本建築が本来もつ美意識と、暮らしの中で育む感性を大切にしています。
日本建築の住まいは、光や影、季節の移ろいなど自然の変化を受け止めながら、日々の暮らしの中で感性を育んできました。
暮らしの中で感性を育むことは暑さや寒さをしのぐことと同じくらい大切だと考えています。その豊かさを住まいづくりに反映しています。
この住まいでは日本の古建築でも使われていた「 竿縁 さおぶち 」とよばれる天井を現代的にアレンジ。 一般的な天井のように下から釘やビスで固定しないため、大きな地震などでも落下しにくく、長年安定しやすいのが特徴です。
そこに天井いっぱいまで設けた大きな窓を組み合わせることで、外と内の天井ラインがフラットにつながり、室内外に一体感が生まれます。天井は陰影が生まれるデザインにすることで、時間によって表情を変えます。大きな窓から感じる四季の移ろいは、旅館など特別な場所で感じるような「自然の価値」を日常の中に取り込みます。
素材は「良質のものを使いたい」という思いから、常に付き合いのあるルートから納品した杉材を採用しています。 杉は節のあるものから、節がなく色味の揃ったものまで多様な表情があります。木材は等級や数字だけでは判断できない奥深さがあるので、 実際に見て触れながら選ぶことを大切にしています。
これらの木材を天井や床に現しにすることで、素材そのものの力強さと繊細さをもつ、日本の木造建築ならではの凛とした雰囲気を感じます。