プロの住宅レシピ 子どもの感性を育てる、ピットリビングのような中庭
藤原 昌彦
ご夫婦とお子さま3人が暮らす住まいづくりでのご希望は、子どもたちの感性を育てる環境でした。
そこで提案したのが、日常の中で自然の豊かさを感じられる中庭のある住まいです。
リビングとつながる中庭を設け、植栽と一体となる空間を目指しました。
中庭はピットリビングとして少し沈み込ませ、デッキとベンチを一体化。リビングが延長するようなデザインで、家族が自然と集まります。
床を沈み込ませたことで、地面との距離が近くなり、樹木や草花をより身近に感じられるようになります。人の目線だけでなく、虫の目線のような低い視点も体感でき、多角的な感覚が育みます。
また、過度に安全性だけを優先するのではなく、自然体の空間づくりを大切にしました。危険を先回りしてすべて排除するのではなく、安全には配慮しつつも「危険なものは危険」と理解し、自分で考えて行動する力を暮らしの中で育むことも大切だと考えています。
リビングでは中庭との間に大きく視線が抜ける開口を設け、内と外が一体に感じられるよう計画しました。さらに、北側に広がる山並みの風景が見渡せる窓を配置し、風景の切り取り方を大切にしながら、光や風の入り方にも配慮しています。
中庭はどの部屋からも見える配置で、中庭越しに家族の気配を感じます。中庭を介して部屋から部屋への移動もでき、伸びやかに暮らせる住まいです。
Photo : 笹倉洋平/笹の倉舎