プロの住宅レシピ プライベート空間を通らず、来客を迎える象徴的な階段
御手洗龍
この『stir』という住宅は、階段が家の象徴的なデザインとなっています。
この住宅の施主は、とても社交的な方で来客の多い家庭でした。そこで空間は広がりを持ちつつも、生活感が見えにくく人を招きやすい家にしたいと考えました。そのため、この階段をたどることで、プライベートな空間を通らずに屋上のテラスまで上っていけるデザインになっています。
写真1枚目上部の曲⾯を描く木の扉の向こうに寝室や水回りなど生活感を感じる空間が隠れています。写真2の模型ですとより一層構造がわかりやすいかと思います。1階部分は店舗ですが、路地からつながる白い階段(写真3)を上ると住宅部分の玄関(2階)になり、吹き抜けのLDKスペースに入ります。そこからさらに階段を上っていくと、来客はプライベートな空間に干渉しないまま屋上のテラスまで進むことができます。これにより空間の広がりを失わないまま、気兼ねなく家に人を招ける家が出来上がりました。大きく家の中をめぐる階段はこの家の象徴でもあり、この家庭の暮らし方ににあった機能的な役割も果たしています。
PHOTO: Kai Nakamura