プロの住宅レシピ 音の響きにもこだわった、ミニコンサートができるリビング
池田 雪絵・大野 俊治
大屋根の下で矩のついたてが隙間を空けて緩やかにつらなる空間。
移住後の終の住処に於いて、矩のついたてがプライベートな空間を守り、その隙間が地域と環境に開き、繋がっていくようにと考えました。
この住宅のリビングは、フルート奏者であるご主人の希望で、ミニコンサートができる簡易ホールのような場所にもなるように設計しました。
水平な天井では、音の反響が続き硬い音になってしまうため、天井は角度をつけ、より音が豊かに響くよう非対称な木材の天井としました。
天井が高めの空間の中で居住域を効果的に冷暖房する特殊な床下空調としたため、床は蓄熱性能が比較的高い広葉樹のフローリングを採用。夏はひんやり冷たく、冬はほんのりあたたかく踏み心地もよいフローリングです。
古い楽器や木製フルートと木材の住宅は相性がとても良く、空間全体が楽器のように感じる心地よさと迫力があります。
地域の光や風が出入りする、そんな開けた場所になるよう考えて設計しました。
photo : 鳥村鋼一