プロの住宅レシピ 「黒」のインテリアに溶け込んだキッチン

STUDIO KAZ
和田浩一
シンク下浄水器

間接照明で奥行きのある空間に

壁(突板)

写真左|縦木目に揃えられた収納は、8000年間沼地に埋もれていた「Bog Oak」
写真右|腰壁は、横木目で揃えた上で淡いラインを表現。どちらもキメ細かな対応をしてくれる安多化粧合板の突板を使用

水栓

後ろ姿も美人のドンブラハ。どの水栓メーカーのカタログも斜め前からの写真が多いですが、食事の最中はもとより、来客の目に触れるのは水栓の「後ろ姿」が圧倒的に多いのです。

料理好きで来客の多い夫妻のマンションリノベ。「自らの想いをキッチンに込めるために」とオーダーキッチンにしました。

キッチン側からみたリビングスペース

~暗い空間を如何に美しく魅せるか~
採光が取りにくいというデメリットを逆手に取った、『黒』がテーマのマンションリノベ。
実は「カラフルブラック」とも呼ばれるほど、多彩な変化を見せてくれるカラーで、まず私はあらゆる黒を探す旅に出ました。随所に工夫を凝らしたこだわりの黒に一役買ってくれたのが、キッチンの壁周りとカウンター腰壁の突板です。キッチン本体や収納の表面に使用する突板を探して、素晴らしい突板を揃えている大阪の会社を訪問しました。そこで出会ったのが8000年間沼地に埋もれていた「Bog Oak」。見た瞬間にこれだ!と思いました。カウンター腰壁の方には、ユーカリの木を燻蒸した「fumed eucalypt pommele」を。自然の営みに抱かれていた木は、クリア塗装するだけで実に繊細で奥行きのある「黒」を演出してくれました。

カウンターは頑丈なコールテン鋼で製作し、よく見れば分かるというレベルで淡いゴールドに着色されたカウンターと、周囲の黒いインテリアが上品な空間を演出しています。

キッチンでとりわけ重視したのが水栓です。私がキッチンプランする上での二大哲学は「使う人に寄り添うこと」と「キッチンの存在感をなくすこと」。他の機器は隠すことができますが、水栓は来客の目に必ず触れるので隠せません。また、カウンター越しに来客と顔を合わせた時、人と人との間に障害物はない方が望ましいですが、唯一どうしても障害となるアイテムがキッチン水栓です。できるだけスッキリとさせたいという理由から、浄水器もシンク下に隠しました。美観を重視したドンブラハの水栓1本だけで浄水に切り替えもできるので、機能性を維持しても空間の雰囲気を損ないません。

「黒」がテーマのマンションリノベを実現した、影の立役者ではないかと思います。

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採用されている製品

シンク下浄水器|トレビーノブランチ
東レ株式会社
STUDIO KAZ
和田浩一
ここが私の評価ポイント!
リビングと一体となることが多い現代キッチンにおいて水栓のデザイン性はきわめて重要。これまで専用栓を立ち上げることなくシンク下に浄水機能をつけられる製品は限られていましたが、水栓を選ばないトレビーノブランチの登場で、優れたデザイン水栓を採用することが可能になりました。デザイナーや建築家にとって(もちろん施主にとっても)画期的な製品です。
採用製品
天然木化粧合板|安多化粧合板
安多化粧合板株式会社
STUDIO KAZ
和田浩一
ここが私の評価ポイント!
すばらしい突板化粧合板を提供しており、安多さんに相談すればクリエイターのイメージ通りの突板を創ってくれます。実に研究熱心で海外の最新トレンドを把握しつつ、日本の空間に会う製品を揃えています。在庫も豊富に持っていますし、新しい製品開発にも熱心です。
採用製品
キッチン水栓|Dornbracht(ドンブラハ)
株式会社リラインス
STUDIO KAZ
和田浩一
ここが私の評価ポイント!
私はキッチン水栓はリビングから見た後ろ姿が大事と言っているのですが、ドンブラハの美しいフォルムはどの角度から眺めても素晴らしい。また操作感が重厚でありながらも使いやすいところも、さすがは水栓の最高峰と言われるだけのことはあります。
採用製品
STUDIO KAZ
和田浩一

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