プロの住宅レシピ 趣味人のための家づくり、電気の質にまでこだわり尽くしたオーディオルーム
藤吉秀樹
建築家との家づくりの楽しみの一つに、自分の趣味をとことん追求した空間を作ることができるという点があります。オーディオルームもその一つではないでしょうか。
こだわりのオーディオと聞くと高額な機材を想像される方が多いかと思いますが、実はそれよりも注目して頂きたいのが、どのような電気を使っているか、ということです。
現代では様々な電子機器が使用されているので、共用の電線などを通して供給される電気には微細なノイズや静電気が含まれることがあります。音響機器専門家からも、オーディオ機器で再生する音や映像に「電気の質」が影響するとアドバイスされました。料理をする際にどんな高級食材を使っても水が汚れていたら美味しい料理ができないように、高級機器を使っても電気が汚れているとその性能を十分に発揮することはできない訳です。
そこで私の設計するオーディオルームでは、太陽光発電による電気をメインで使用し、賄いきれない分は大容量リン酸鉄リチュームイオンバッテリーに電気を貯め、ノイズが増幅しないよう工夫しています。
勿論、機器の性能にも音響の質は左右されますが、大元となる電気に拘るほうが費用対効果は高いと感じます。
ここは専用の防音室ではありませんが、一般的なペアガラス(内部と外部のガラスの厚さを変えて共振を抑えるようにしています。)の窓をきちんと閉めれば、RC造ということもあって近隣への音漏れも少なく存分に楽しむことができます。