プロの住宅レシピ ねじれた屋根が生み出す解放感とプライバシー
鈴木隆介
『M邸』では屋根の勾配が変化してゆるやかにねじれることによって、周囲の建物からの視線を遮ることと光を取り込むことを両立させています。
大きな壁で建物を覆ってしまうと、住む側も周りに対しても圧迫感が出てしまい、居心地の良い環境とは言いづらくなってしまいます。そこで、視線を遮りたい北側(写真1枚目右側)から開口で光を取り込みたい南(写真1枚目左側)へ向けて勾配を変化させて屋根の高さを上げていっています。これにさらに植栽などの配置を加えることよって、ガラスが多い明るい建物でありながら隣地の目線はカットしています。
また北側の側面は屋根が低い部分の開口を大きくして光を十分に採りこめるようにしています。ねじれ具合もこの程度の緩やかさであれば、雨の流れ方などにも大きく影響を与えることはなく、特別なメンテナンスが必要になることなどもありません。
なかなか見かけない形状かもしれませんが、このような手法で解放感とプライバシーを確保することも可能です。