プロの住宅レシピ 開放性と防犯性を両立 メッシュ状メタル扉の土間兼ガレージ
山本嘉寛
『木川の長屋』は大阪の街中立地での建て替えでした。とても交通の便もよく魅力的な場所なのですが、採光、通風やプライバシーの確保が課題点となりました。その課題を解消すべく、敷地内の建物の形や室内空間の切り分け方などをプランニングしていく中で、行った工夫の一つがこの特注のエキスパンドメタル(金属板に千鳥状の切れ目を入れて、ひし形等のメッシュに加工したもの)の吊り戸を備えた土間兼ガレージです。
ガラス入りの木製建具でできた光を通す玄関はこの土間の奥に控えており、直接道には面していません。道路際に設けられたメッシュのメタル吊り戸は、単体で施錠することができるので、こちらだけを閉めれば、玄関は開け放して生活することも可能です。金属で防犯性は高いですが、メッシュ状なので風も光も通り、玄関から室内奥まで抜けていきます。
土間部分はバイクのガレージも兼ねていて、半屋外の空間として街と屋内を緩やかにつないでいます。壁面も耐火性能を満たしながらも、空間の仕上がりが外っぽくなり過ぎないような素材選びを行っています。
PHOTO:山田圭司郎[YFT,]