プロの住宅レシピ 落ち着いた大人な空間をつくるリノベーション
芦田 成人
お子様が独立されて数年が経ち、最近お孫さんも誕生されたご夫婦お二人のためのリノベーションです。
これからの人生を「丁寧に暮らしたい」というお施主様の思いから生まれた住宅です。
将来、1階で生活が完結できるよう、二間続きの居間と和室は、ホテルや旅館のような雰囲気の広々としたLDKへと生まれ変わりました。
落ち着いた空間になるよう、天井はあまり高くせず、重心を抑えた設計としました。その分、圧迫感が出ないよう、窓及び内障子は天井高目一杯の高さに設定し、開放感を得られるようにしています。天井や床、建具などに木材を多用しているため、単調な印象になりがちですが、各パーツで木材の種類を変え、それぞれの木材が持つ表情を活かすことで、空間にメリハリがつき質の高い空間となりました。
元リビング収納だった場所には、1畳にも満たない小上がりスペースを設け、その奥に仏壇置場を置くことで将来、お仏壇を引き取った際に空間全体に違和感がでないように工夫しています。この籠り感のあるスペースは、お子様が帰省された際には、定位置となり一日の大半をここで過ごしたり、又奥様が読書をする場所になるなど、ご家族の皆さんにとって、とても大切な場所となっています。
Photo : 中村写真工房(中村大輔)