プロの住宅レシピ 大きな柱型・梁型で常に美しい空間を提案
柿木 佑介・廣岡 周平
新婚の施主ご夫婦は、徒歩圏内にあるお互いの実家との頻繁な行き来が想定されたので、母屋と離れのような住まい方をもとに設計しました。
通常、室内の仕上げは設備配線などを納めるために構造体に対して均等に嵩上げされることが一般的ですが、これにより空間のロスが多くなります。また、収納も空間の広さを圧迫する大きな要素で、将来的にも増えていく傾向にあります。そこで、内装計画の邪魔になりがちな柱型や梁型に、設備や収納を集めて、逆にそれらを大きくすることで価値転換を試みました。
室内に出っ張っている柱梁に収納や設備スペースを集め、効率的に大きな収納をつくりながら、その他の部分の仕上げの嵩上げを極めて小さくすることで、居住空間を広くしています。それによって生まれた窪みは、机やベッドを配置するきっかけとなり、そこに住まい手の居場所がつくられていきます。そして居場所からはすぐに収納にアクセスできるため、常に綺麗な状態を保つことができます。
また、収納扉や建具の枠などが空間に対してフラットに収まるようしっかりと設計されているため、無駄がなく、よりスッキリとした印象が際立ちます。
アイデアにより、常に整った広い空間が生まれ、親兄弟や友人が気軽に集まれるような場所となりました。