プロの住宅レシピ 音・気配・空気・人間関係をつなぐ二世帯の家
橋本雅尊
『久井の長屋』は、1世帯のようなつながりや一体感のある2世帯住宅として作って欲しいというのが施主の方からの要望でした。
ご夫婦がご主人の生まれ育った土地に戻り、祖母、両親とともに暮らすための住宅です。とても家族仲のよいご家庭なので、切り離した2世帯ではなくそれぞれの生活はありながらも多くのことを共有できる家を作っていくことになりました。
その象徴的な部分になっているのが、吹き抜けや視線の抜ける窓のようにくり抜かれた壁面です。
家の中を壁で仕切って、どこが表でどこが裏というような用途や暮らし方が限定・分断される形ではなく、家の中のどの部分も表で、様々な使いかたができ、お互いの気配や外の景色を感じられるようにと企図しています。音・気配・空気すべてを家中で共有し、大切な家族を感じられる、そんな暮らしのための工夫です。
PHOTO:藤井浩司(TOREAL)