プロの住宅レシピ
アールの天井と重心の整理
~居心地の良い空間を生み出すリノベーション~
山田伸彦
『瀬頭の家』は築約40年の鉄筋コンクリート3階建て住宅のリノベーションです。
2世帯が暮らす家で、1階が母親世帯、3階が子世帯、2階が共有のリビングスペースと水回りという構成でした。
その生活スタイルは踏襲したまま、経年劣化した部分の補修や断熱改修に加えて、内部のデザインやプロポーションの変更を行いました。
その中でも特徴的なのが、家族がみんなで時間を過ごすリビングです。既存の天井が少し高すぎて落ち着かないと感じたので、丸い曲面の木の天井を設けることで、包まれたような感覚で意識が内側に向くように意図しました。また、天井の木部と壁の境目でまっすぐのラインを生み出すことで、今までそれぞれの窓の高さの違いがあった空間の横のラインを整理しています。
さらに、窓辺のベンチやテレビ台、ダイニングチェアなどを40cmの高さで揃え、低い位置にも統一されたラインを生み出し、部屋の重心を下げることで落ち着く空間を作り出しました。
PHOTO: Nacasa&Partners 金子美由紀/Miyuki Kaneko