プロの住宅レシピ 光と目線が抜ける大屋根の開口 ~建蔽率と敷地の有効活用~

川本達也建築設計事務所
川本達也

特徴的な開口部のある大屋根。外からの光を室内に届け、室内からは空が見える。

大屋根の開口部では光を浴びた植栽がのびのびと成長する。

間に柱のない大きな空間。屋根が乗っている門型のフレームが家の奥へ向かって複数ならぶ構造で、大きな開口部を実現する耐力壁になっている。

外装木材

大屋根に守られて、室内と前面道路の間も有効活用できる空間に。

夜間の様子。

この住宅は前面が私道(この道路に接する複数の住宅で所有する生活道路)で、不特定多数の人が多く行き交うような場所ではありません。そこで外部と断絶するのではなく、敷地を目いっぱい有効活用しつつ、この道路、そして道路に接する家々のコミュニティに緩やかにつながるようなプランにしたい、と考えました。施主の方からも開放的な空間という要望があり、プライバシーを守りながら伸びやかに暮らせる空間を目指しました。
1階に設けた大きな開口部は、駐車スペースと前庭がクッションになり外部に対して生活がむき出しにはなりません。さらにそこに大屋根をかけることによって、半戸外のような空間となり住居と道路を緩やかにつないでくれます。ただの外ではなく室内の延長として暮らしの中で使える場所になりました。
また、屋根に設けた開口は採光や通風、室内からの見晴らしといった面だけではなく、建蔽率の条件をクリアする役割も担っています。開口部分は面積に入らないので、有効に使いながら建蔽率の制限内におさめることができました。
先端に支柱を設けずに片側で支える大きな軒先に開口部を設けることは、構造上難しく試行錯誤が必要でしたが、この家にとって重要なポイントになったと思います。

PHOTO: 植村崇史

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採用されている製品

各種防火処理木材・木質建材|チャネルオリジナル
チャネルオリジナル株式会社
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川本達也
ここが私の評価ポイント!
■採用製品: JAPANESE RED CEDAR 屋久島地杉シリーズ
屋久島地杉は油分が強いので、外部に使用するのに適していて、複数回採用しています。あえて節があるラフな質感の木材を使用することで、経年変化により生まれる風合いともマッチして魅力になると感じています。
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