プロの住宅レシピ 木の姿を活かした柱と地形を残した石垣~ここだからできる暮らしを~
河野 洋一
家を建てるときは周辺環境との調和を考えますが、その一方で家は建った後はそれ自体が地域の環境の一部になっていきます。
そのように考えると、より周辺地域との調和の重要さが感じられるかと思います。
『双海の家』ではここだからこそできる家と暮らしづくりを目指しました。
その中でも象徴的なのが木の姿を活かした柱と既存のまま残した石垣です。
柱は、住まい手と一緒に山に行き、共に転がりながら木を選び切ったものを使用しています。物としてだけでなく思い出の詰まった大切な存在です。
また、石垣は元々この土地にあったものです。崩して土地の高さを均してしまうのではなく、家の形に高低差をとりこんで、下階のガレージリビングと上階の見晴らしの良いLDKという贅沢な空間づくりを行いました。
実はこの場所は住まい手の実家のすぐそばの土地です。最初は別の土地を探しておられましたが、インフラや防災面など暮らしやすさを考えたときに、ここがベストという選択になりました。
身近にあった幸せを感じながら、生活を楽しんでおられる住まいです。
PHOTO: 國貞 誠