プロの住宅レシピ 家の空間を一つにつなげる構造現しの天井
髙橋 純也
現(あらわ)しになった天井が特徴的な『一室の家』は施主の方がお母様と二人暮らしをされる家です。
最初の構想の時点で施主の方から、個室でお互いの生活に目が届かないような形ではなく、すべてつながった区切りのない空間でもよいという方向性が提示されました。
そこを発想の始点として、生まれたのが家のどこにいても感じられる屋根の形を活かした天井です。
家の四隅から頂点に向かって梁を走らせ『かぶら束』を中心に据える木組みの工法で、家全体を包む天井と柱を落とさない大きなLDK空間を実現しました。
そして区切りのない空間でよいとは言っても、それでは時として息苦しくなってしまうことも考えられます。
そこで天井はつながりながらも目隠しができるよう、パーテーションのような感覚で柔らかなアールを描く壁や、必要に応じて仕切る引き戸を設けました。
上部は天井まで伸ばさず開けて、つながりやお互いの気配を感じられるように仕上げています。