プロの住宅レシピ 屋外のような開放感 トップライトとグレーチング階段
村上康史
『新森の住宅』は大阪市内の住宅密集地という立地で、採光や外からの視線の回避という点でやや不利な条件でした。
施主の方は明るく開放的に暮らしたいという希望をお持ちで、その理想を叶えるために様々なプランを検討しました。
打合せをしていく中で、吹き抜け土間にトップライトをつけて1階の多目的土間スペースまで自然光を届けるというプランが最初に決まりました。
そこでトップライトからの光を通す階段を設計することとし、選択したのが屋外のような雰囲気を演出するスチールグレーチングでした。グレーチングは道路の側溝の蓋などにも使われる工業製品ですが、うまく木や白い内装と調和させれば程よいラフ感が活かせます。
思い切った素材選びではありますが、今回のご要望にはとてもマッチしていました。また、木製ルーバーやエキスパンドメタルなどの特注品を製作するのに比べ、既製品の利点でコストも抑えられ、個性的でありながら無理のないプランとなりました。
これにより住宅密集地でも明るい1階を実現し、土間スペースがセカンドリビングのように活用される場となりました。
PHOTO:髙橋 菜生