プロの住宅レシピ 土間をもっと使いやすく 引き出し式の渡り廊下
中澤 博史
『八千種の家』はのどかな田園地帯にある、ご実家の隣に建てた家です。
建物の南側に駐車スペースや庭があり、北側にはご実家があるという配置です。子供が遊びに行ったり、祖母が遊びに来るため、南北どちらからも出入りができると便利だと考えました。加えて南北が通り抜け可能だと利便性も上がり、風も通って快適になるため南北を貫く通り土間を設計しました。
通り土間は多目的に使え便利なスペースですが、不便を感じる点があるとすれば土間を挟んだ反対側のフロアに行くのに一旦、靴をはく必要があるということです。一度行くだけならば大して気になりませんが、何度か行き来が必要な場合には煩雑に感じることもあります。そこで普段はしまっておいて、床下から引き出せる渡り廊下を設計しました。
軽く動いてストッパーで止められる仕様になっていて、土間を挟んだ両フロアをつないでくれます。これで靴をはかずにそのままワンフロアとして移動が可能になります。
また、普段は生活の動線の中で何度も土間を渡らなくて良いように、生活に必要なスペースを片側にまとめ、反対側に客間や趣味室などを配置しています。
PHOTO: junya terashita