プロの住宅レシピ 風と光をあやつる格子とガラス建具と高窓

まるさわ設計室
丸澤 直靖

天井の格子と引き戸の上の開閉可能なガラス戸。格子にはアクリル板を組み合わせており、光は通して断熱性はキープ。

夏場は上部のガラスを開けて廊下の高窓からの風を通す。冬場は閉めて熱を逃がさない。

廊下側。ギャラリーの窓からの自然光が、ガラスを通して室内に届く。天井にもアールをつけているので柔らかく光が伝う。ギャラリーの向かい側、格子を渡った先の扉は納戸。

廊下から室内に行き渡る明るい自然光。

夜間の様子。ギャラリーのスリムな手すりの上部に照明を仕込んでいるので、天井を照らしても手すりの影が出ない。

私は長野に住んでいて、県内の住宅の改修依頼を受けることも多いです。
年数を経た家は、面積が大きく中心に廊下という形が一般的で、外光の届かない廊下は暗くて寒い場所になっており、それを解消するのが改修の際の共通課題として挙げられます。
『笹部の住宅改修 U邸』はお子さんが巣立ち個室が必要なくなったので、2階建てを平屋に改修した住宅です。この例も自然光を家中に行き渡らせる計画としました。
2階がなくなり開けた廊下の上部に高窓を設け、メンテナンス通路兼ちょっとした物の置き場所としてギャラリースペースを設置しました。家全体をワンルームのようにつなげていく分、少なくなる収納の役割も兼ねた場です。
さらに廊下とLDKをつなぐ部分の天井は、高窓からの光を通すように木製の格子とアクリル板で造作しました。 部屋入口の引き戸の上部も開閉できるガラス建具として、気候の良い時期には風が通るようにしました。素通しではなくアクリルを用いたり、閉じられる建具にしたのは、冬の長野の寒冷な気候に対応するためです。
リノベーションによって風景になじむ和風の外観は保ちつつ現代的な柔らかな光の射す空間となりました。

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丸澤 直靖

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