プロの住宅レシピ 細長い家の形を効率的に使う 階段周りに集約された収納と就寝スペース
田中郁恵
おひとりと猫1匹のための住まいです。南北が幅の広い道路と公園に面しており、光と風が抜ける環境です。しかし細長く、広くはない敷地でしたので、効率的に空間を使う必要がありました。
その中でも特徴的なのが1階の階段周りのスペースです。
まず、造り付けソファのように見えるのは、既製のマットレスを使えるサイズのベッドです。いかにもベッドという雰囲気のものがあると、寝室として空間の性質を限定してしまうため、ソファベッドのようなものをという施主の方の希望を受けて設計しました。
さらに、ベッド横の段差の天面の蓋を開けると中はコンセント完備の収納になっています。浅めの造りで、就寝時にスマートフォンを置いておくなどサイドテーブルのように使えます。
そして階段下、ベッド下は収納として活用しています。収納は多い方が良いと思われがちですが、その分生活スペースを圧迫し、費用もかかります。私は、施主の方の荷物を図面に落とし込み、本当に必要な収納はどれくらいかを一緒に見極めていくという方法をとっています。
このように様々な役割を1階の階段周りに集約させて、明るい2階をのびのびと過ごせる空間としました。
PHOTO: 中山保寛