プロの住宅レシピ 子供たちの成長と共に変化できる自由自在な子供部屋
村井之俊・村井藍
『長泉の住宅』の建築主は3人のお子さんがいるご家族で、竣工当時はまだ2歳から5歳くらいと目が離せない年頃でした。これから家族で過ごしていく時間と、子供たちの成長のことを考えながら、現在と未来の時間を楽しく有効に過ごせる空間をつくることが設計する上での重要なポイントとなりました。
その特徴がよく表れているのが大きな3つのハコを設置した子供部屋です。ハコは移動可能なベッドであり、間仕切りでもあり、1つずつが収納も備えたそれぞれの子のテリトリーです。3人の部屋を分けると面積的にも余裕がなくなり、寝るだけの空間になってしまいます。そこで、自分の領域はハコで確保しながら大きな一つの空間の中で過ごせるように配置し、将来、間仕切りが欲しくなったときにはハコを移動させて自分たちで使いたいように空間を分けられるようにしました。
また、親御さんは子供が大好き、自分たちも一緒に遊びたい、という要望をお持ちでしたのでロフトやボルダリングの壁面など一緒になって楽しめる場も設けました。そして、いずれ子供達が成長し、巣立った際には、この使い方が限定されない空間を大人のためのスペースとして使えるように、と意図しています。