プロの住宅レシピ 何度も回遊したくなる、子ども心をくすぐるリビング
田島 寛己 / 田島 花織
お施主様がご家族から受け継いだこの土地は、以前から近所のお子さんやお友達が集い、交流の場となっていました。そのような場所を継承していく計画として、特にリビングでは子どもたちが自由に遊び回れる楽しい空間を目指しました。
この住まいは、街に開いた北庭と子どもたちが自由に遊べる南庭を持ち、この2つの庭に挟まれる場所にリビングが位置します。リビングから続く大きな土間が南北の庭を繋ぎます。両サイドには吐き出しのサッシを設けることで、優れた断熱性能を持ち、サッシを開けると室内外の境界を感じさせない設計となっています。子どももペットも、庭からリビング、そしてまた庭へと自由に室内外を回遊でき、視覚的な繋がりを超えて、行動そのものが繋がる空間として、リビングは庭と一体化します。
飾らない雰囲気を大切にするために、住宅全体の素材そのものの良さを活かし、照明もシンプルなものを選びました。このシンプルさが、空間の開放感を一層引き立てています。
リビングを挟む庭は、ご家族の手入れによって木々が増え、どんどん成長しています。子どもたちの成長と庭の自然の成長を共に楽しみながら過ごせる場所となりました。
Photo : 鳥村鋼一