プロの住宅レシピ 心地よい外とのつながりと防火設備の調和
岩瀬英志
戸建ての魅力の1つに、外とのつながり方を選択できるという点があります。
インテリアの材料を良質なものにすることはマンションなどでも可能ですが、半屋外空間を設けたり、室内外が心地よくつながる設計ができるというのは戸建てならではの贅沢です。
その一方で、都市部の住宅の外とのつながりを考える際に避けられないのが防火・準防火地域の規制への対応です。防火窓などは美観に影響を与えてしまうことも多く、デザイン的に美しく基準も満たした快適な開口部をいかに設けるかということが重要な課題です。
『本郷の家』では、スチールサッシと網入りガラスの窓を備えた外壁に防火壁としての役割を持たせました。その内側に半屋外空間のテラスを設け、テラスに面した室内には木製サッシを採用しています。外壁が防火基準を満たしてくれるので、室内側は網入りガラスを採用する必要がなくなり、テラスを介して自然光が降り注ぐインテリアと調和した大きな窓が設けられました。
また、『若林の家』ではバルコニー部分の防火シャッターを上部の天井面に収めて存在感を消しています。外観の印象が「シャッターのある家」になったり、室内からの視界でもノイズになるのを避けるためにこのような工夫を行いました。
PHOTO:Kai Nakamura