プロの住宅レシピ 住宅街を忘れる、どの部屋から切り取っても美しい中庭
藤本 香織
住宅街に位置し、近隣の建物が迫る環境にある住まいにおいて、開放感のあるリビングにするために中庭を設けています。
中庭は地盤面を少し上げることで、部屋と外とのつながりをつくり、庭の自然の心地よさや季節感を室内に取り込むことができます。地盤を上げることで生じる水はけの問題に対しては、ウッドデッキの下に排水パイプを設置することで、しっかりとした排水を確保。通風も取れる仕組みを作っています。
中庭は、家のどの場所からも美しく見えるように設計しました。例えば、寝室や廊下、書斎空間、和室などからそれぞれ異なる視点で庭を楽しむことができ、同じ庭でも違う印象を与えます。この工夫により、その時の気分や季節や時間帯に合わせて過ごす部屋を選ぶ楽しみも生まれます。
庭づくりの工夫により、日常生活に変化と楽しみが加わりました。お施主様より庭のお手入れの時間が何よりの楽しみになっているそうで、健康にも一役買っているのかなと思います。
Photo : 雨宮秀也