プロの住宅レシピ その場所ならではの良さを活かした快適なリビング
石川 健人
『北東に抜ける家』は北東にL字型の大きな窓をもった2階リビングの住まいです。リビングの開口は南側じゃないの?と思われる方もいるかしれません。確かに、南開口のリビングというのはよく見られるプランです。しかし、単に南であれば良いのではなく、その土地が持つ条件や周辺環境を考慮して、一番気持ちよく過ごせる方角を探すことが大切です。
このお住まいは敷地に高低差があり、西と東がそれぞれレベルの違う道路に接しています。実は、別会社から高低差を無くすための擁壁工事などを前提としたプランの提案を先に受けておられ、予算がかなりかかる点を悩んでおられました。そこで、私達からは高低差を無くすのではなくそのまま活かした設計をご提案しました。
2階に高い方の西側道路に接するメイン玄関を設け、リビングも2階にとりました。そして南側は隣家の目線が気になる位置関係のため、外からの目線が気にならない北東側にL字型の大きな窓を開きました。採光はこの窓と東西の小さめの窓から十分採れ、遠くまで広がる眺望も楽しめます。加えて南側にも目線が避けられる高窓を設置し、冬場の太陽の温熱を採りこめるようにしました。このようにそれぞれの環境にあった快適な空間をご相談しながら見つけていければと思います。