プロの住宅レシピ 斜線制限をデザインに採りこんで魅力に 屋上テラスのある家
梅﨑 照城・梅﨑 幸子
『空に近い家』は3階建ての2世帯住宅です。
ある程度密集した住宅地に家を建てる際には、隣地の日照などを確保するために高さを規制する斜線制限があります。そこで、それを逆手にとって、高さ制限の斜めのラインを活かしたこの家ならではのデザインと楽しみをつくることにしました。
まず特徴的な点として、規制に対応するために片流れとした屋根の一部をくり抜き、そこに3階から出られるテラスを設けました。屋根により周囲の視線をかわして空だけを切り取った解放感のあるテラスで、住宅地にありながら家族だけの空が楽しめる少し贅沢な空間です。
また建物外観も、白い建物を包んだようなイメージのガルバリウム鋼板に角度をつけ、屋根のラインと調和した個性あるデザインとしました。
外観に限らない話ですが、私たちは家の個性というものはとても大事だと考えています。例えばそこで育つ子供が「自分の家は他の家とは違うな」と感じ、友達を呼ぶ、友達と家で遊んだ楽しい記憶がずっと残るというように、物としてだけでなく生き方に少しでも届くような部分があると考えるからです。規制さえもその家の個性になるような、それぞれの家族のための唯一無二の家を作りたいと考えています。